投稿

3月, 2024の投稿を表示しています

Langage des fleurs (花ことば)

イメージ
華やかな花の衣装をまとった女性たち。 余白には花言葉とそれに関連した一文が書かれています。 これらのイラストは1930年代にフランスで販売されたポストカードです。 イラストレーターや出版元などは不明ですが、イラストの上から手作業でラメやコラージュがほどこされているようで、なかなか凝ったつくり。ただ、それ故に後から糊付けした部分が経年で剥がれてしまっているものもあり、完全な形で残っていないことも多いようです。 現在、(このブログも含め)ネット上ではよく見かけるものの、その多くで同じ画像が使われており、実際にはどれくらいの枚数が販売されたのかも不明。ヴィンテージとして市場に出回っているものから推察すると、1930~40年頃にかけて継続的に、ある程度まとまった数が印刷されたのではないかと思われます。 絵柄も何種類あるのか正確にはわかりませんが、一応これで全部かなと思うのでまとめておきます。 ちなみに書かれている花言葉は、フランスの一般的な花言葉とはかなり違っているようで、時代による違いもあるかもしれませんが、あるいはこのシリーズ独自の花言葉かもしれません。 ミモザ (上のカードは左下のミモザが剥がれてしまっています) 椿

ガートルード・アリス・ケイの四季

イメージ
3回目の四季シリーズ?は、アメリカのイラストレーターで児童文学作家でもあったガートルード・アリス・ケイ(Gertrude Alice Kay, 1884-1939)。 こちらは四季をテーマに描かれたイラストのセットというわけではなく、ガートルード・アリス・ケイ自身が文章も手がけた本“The Fairy Who Believed In Human Beings”(1918年)の挿絵です。 比較的、初期の作品なためか、一般に知られる彼女の作風とは違いますが、湿度の感じられる幻想的な雰囲気も素敵です。 春 夏 秋 冬

マドレーヌみたいな女の子たち

イメージ
藤田嗣治(Léonard Tsuguharu Foujita, 1886-1968)の『ケープをまとった子どもたち』(1956年)。 藤田の終の棲家となったフランスの家には、彼がスペインを旅した際に持ち帰った木製のドアが複数使われており、家の壁のほうをそのサイズに合わせて作ったというのは有名な話。これはそのドアの装飾パネルのうちの1枚だったそう。 カトリックの学校の生徒なのか、全員が胸に十字架を下げています。 おそろいの服を着て、おそろいの帽子を被り、1列に並んだ女の子たち。 この絵を見た時、すぐに「あ、マドレーヌみたい」と思いました。 ルドウィッヒ・ベーメルマンス(Ludwig Bemelmans, 1898-1962)の絵本 "Madeline" の、パリの寄宿舎で2列になって暮らす女の子たちみたいだと。   ベーメルマンスの“Madeline” 2列になって食事をし、2列になって歯をみがき、2列になって就寝する12人の女の子たち 毎日9時半、シスターのミス・クラベルに引率され、2列になって散歩に出かけます 12人の中でいちばん小さくて、いちばん元気なのが主人公のマドレーヌ 行儀よく並んだ様子だけでなく、つばの上がった平たい帽子や白い襟、ケープカラーのコートなどが似た雰囲気に感じるのでしょうね おそろいの制服で並んで歩く少女たちといえば、ベルナール・ブーテ=ド=モンヴェル(Bernard Boutet de Monvel, 1881-1949)の作品も思い浮かびます。 ベルナール・ブーテ=ド=モンヴェルは、フランスの画家ルイ=モーリス・ブーテ=ド=モンヴェル(Louis-Maurice Boutet de Monvel, 1850-1913)の息子。 ベルナールは、このモチーフを気に入っていたのか、イラスト、油彩、版画と様々な手法で繰り返し描いています。 "The Little Orphan Children March Two By Two(ふたりずつ行進する小さな孤児たち)" アメリカの雑誌 'The Century Illustrated Monthly Magazine' に掲載されたイラスト(1913年) ベルナールの兄で文筆家のロジェ・ ブーテ=ド=モンヴェルが書いた  " Nemou

チャールズ・ロビンソンの四季

イメージ
“四季”の連作、今回はイギリスのイラストレーター、チャールズ・ロビンソン(Charles Robinson, 1870-1937)のイラストです。 これらはイギリスの石鹸会社(Pears Soap)が毎年発行していたクリスマスブックの1920年版に使用されたもののようです。が、それぞれのイラストは別の機会にも使われており、サインの入れ方に違いも見られることから、元々ひと組の作品として描かれたものではないのかもしれません。 それでも、通常これをセットとして扱うことが多いため、ここでも四季を描いた連作として紹介します。 春 夏 秋 冬

チャールズ・ロビンソンの黒猫の本

イメージ
英国の作家ウォルター・コープランド(ジェロルド)の著書“The Black Cat Book”(1905年)。 題名の通り、黒猫たちが繰り広げる様々なシーンを描いたこの本、最大の魅力は何といってもチャールズ・ロビンソン(1870-1937)による挿絵の数々でしょう。 いきいきとして、どことなくユーモラスな猫たち。黒猫を引き立たせる赤も効いていて、お洒落です💕 At the Sea-Side