ウジェーヌ・グラッセの"美しき女庭師"たち

スイス出身でフランスで活躍したウジェーヌ・グラッセ(Eugène Grasset, 1845-1917)。 アール・ヌーヴォーの先駆者と言われるその仕事はイラストやポスターのほか、建築、家具、ステンドグラス、ジュエリー、タイポグラフィー等々、非常に多岐にわたるため総じて“装飾家”と呼ばれています。 その彼が描いた"La Belle Jardinière"のシリーズ(1896年)。 これらは、パリにあった服飾専門の百貨店"Belle Jardinière(ベル・ジャルディニエール)"が顧客に配布するカレンダーのために描かれたものです。 ラファエロの名画"美しき女庭師(イタリア語では'La Bella giardiniera')"と同じ名前の服飾店。ウジェーヌ・グラッセが描いたのは、文字通り庭仕事をする美しい女性たちの姿でした。店の名前にかけて四季折々の花で華やかに彩ることが出来る題材は、カレンダーにうってつけだったのでしょう。 絵の中の女性たちが着ているドレスも、当時店頭に並べられていたであろう流行のスタイルが取り入れられました。 また女性の服の柄が、その月の星座のシンボルになっているほか、描かれた植物や人物の姿にも黄道十二宮への対応や寓意がこめられているといいます。 Janvier:1月 Février:2月