"Hortus Floridus"
17世紀の初め、オランダで出版された植物図鑑"ホルトゥス・フロリダス(Hortus Floridus)"。作者はクリスペイン・デ・パッセ(Crispijn de Passe または Crispijn van de Passe とも)父子です。 最初に出版されたのは1614~1916年頃。表紙には1614年の記載があります。 彼らは一族で印刷・出版業を営んでおり、父(Crispijn (van) de Passe the Elder)、子(Crispijn (van) de Passe the Younger)ともに、画家であり版画家であり印刷・出版業者でしたが、このホルトゥス・フロリダスに関しては、主に図版を描いたのは息子のほうだったとされています。 また、一部の図版にはクリスペイン・デ・パッセ(父)の次男と三男─つまりクリスペイン・デ・パッセ(子)にとっては弟たち─の署名が入っており、この本の出版には家族で携わっていたことも窺えます。 こうした初期の植物図は、純粋に学問のためというよりは鑑賞用としての役割も大きく、そのため美しい絵を描く画家とそれを再現する優れた彫刻師(彫師)が求められました。お互いにそれを外注するケースもありましたが、クリスペイン・デ・パッセ父子の場合はその全工程と、更には出版までを自分たちで行っていたわけです。 "Hortus Floridus"の図版から、一部を抜粋して以下に。